- Generation of rat forebrain tissues in mice. Huang et al., Cell 2024,187, 2129–2142
- 胚盤胞補完法を用いた,ラットの前脳を持つマウスの作製
これまでにもジフテリアトキシンを用いて別のマウスの前脳を持つマウスは作製されていたが,今回ラットの神経細胞から成る前脳を持つマウスの作製が試みられ,Hesx1-/-マウス胚盤胞にラットES細胞を移植した417サンプルのうち,16サンプルで前脳と海馬が完全に再構成された
ラット細胞の割合は50%程度だった。また,発生中期から後期における異種間障壁(ラット細胞の割合が減少していく現象)はこの実験においても確認された
電気生理学的,組織学的な解析や遺伝子発現解析,行動解析によって,マウスの脳を構成するラット神経細胞は正常に機能していると考えられた
- *注目ポイント*
- 異種間キメラ動物の作製は,基本的には臓器欠損動物をホストとして,別の種類の動物のES/iPS細胞を胚盤胞に入れることで,欠損した臓器を「補完」することで作製される
- 臓器を欠損させるためには,臓器を形成するためのマスター遺伝子を破壊する必要があるが,どの遺伝子を欠損させるのが胚盤胞保管法に適しているのか見極める必要があった
- そのため,前脳形成のマスター遺伝子と考えられる7つの遺伝子を4つのgRNAを用いて破壊した胚盤胞に,ES細胞を注入
- 結果的に◾️ES細胞由来の前脳ができて◾️生き残った個体があったものを,「成功」とした
- *管理者コメント*
- ラット並みの賢さのマウスかどうかが興味深いと思って読み進めたが,行動解析は比較的簡単な課題にとどまっていたため,複雑な課題ができるかどうかなどは不明
